アパート・マンションの現状回復費用負担について、国土交通省の【現状回復をめぐるトラブルとガイドライン】を確認しました
こんにちは!
本日もこのブログにお越しいただきありがとうございます。
サラリーマンと投資活動の二刀流に挑戦している、よしきさんです。
7月21日(火)の記事でご報告しましたが、所有投資不動産のうち、M物件で2部屋、H物件で1部屋退去予告がありました。退去があれば現状回復工事をしなければなりません。
入居者からよく「国土交通省のガイドラインにそって現状回復費用を精算して下さい」といわれますので、あらためて国土交通省が発表している【原状回復をめぐるトラブルとガインドライン】を確認してみました。
入居者や管理会社の主張する「経年劣化の拡大解釈」を見直しして、現状回復費用の「入居者負担」と「オーナー負担」を整理しましたので、皆様と情報共有したいと思います。
↓ランキングに参加していますのでお願いします。
- 1 経年劣化とは?
- 2 賃貸住宅の入居者が負担する原状回復義務とは?
- 3 経年劣化と通常損耗の範囲
- 4 特別損耗の事例
- 5 経年劣化を考慮した原状回復費用
- 6 経年劣化の残存価値と工事費用の関係
- 7 まとめ
1 経年劣化とは?
「経年劣化」とは、時の経過にとともに品質が低下することです。
たとえば太陽光による壁紙や床の変色や日焼け、トイレ、お風呂のパッキンの故障などが該当します。
同じように入居者の故意・過失がなくても、通常に生活をしていてもできてしまう傷などがありますが、その場合は「通常消耗」という扱いになります。
たとえばベッドやソファーなどを置いてできた畳や床の凹み、テレビや冷蔵庫を置くことによる壁の電気焼けなどが該当します。
経年劣化と通常損耗の違いは、普通に生活していてもできてしまう傷や凹みは、通常損耗、何もしていなくても物件が劣化してしまうことを経年劣化といます。
国土交通省の【原状回復をめぐるトラブルとガイドライン】では、経年劣化と通常損耗によって発生する修繕費用は、原則としてオーナーが負担するものとしています。
経年劣化と通常損耗分の修繕費用はすでに月々の賃料に含まれているという見解です。
ただし国土交通省の【原状回復をめぐるトラブルとガイドライン】には法的な強制力はありません。
賃貸契約で原状回復などの特約がある場合は特約が優先されます。
2 賃貸住宅の入居者が負担する原状回復義務とは?
賃貸住宅の入居者が負担する原状回復義務とは、国土交通省の【原状回復をめぐるトラブルとガイドライン】では以下のように記載されています。
「貸借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、貸借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による消耗・毀損を復旧すること」
☆原状回復をめぐるトラブルとガイドラインを引用
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdf
・故意=わざと壊す
・過失=不注意で傷をつける
・善管注意義務違反=掃除を怠る
・故意・過失・善管注意義務違反=入居者の使い方に問題
それぞれに該当するものが、入居者が負担する費用で「特別損耗」ということになります。
3 経年劣化と通常損耗の範囲
3-1 クロス
太陽光による日焼けや変色は、経年劣化としてみなされます。
ただし、釘で壁紙に傷をつけるや、タバコのヤニ汚れは故意的に、または使い方の問題で特別損耗とみなされ、入居者の負担となります。
3-2 フローリングや畳など
フローリングや畳は、経年劣化の対象にはなりません。
傷、汚れや水分付着によるカビや変色は入居者の負担になります。
ただし太陽光による日焼けは入居者が原因ではないため、経年劣化として扱われます。
フローリング全体の張り替えが必要になった場合には、建物の耐用年数で計算することになりますが、耐用年数を超える築年数の場合にはオーナー負担となります。
3-3 バス、トイレなどの水回り
バスやトイレなどの設備は経年劣化の対象になります。
トイレのクロスや浴室内の黄ばみ、パッキンの故障などは経年劣化となります。
ただしカビは入居者に使い方が原因であるため入居者負担となります。
4 特別損耗の事例
・ペットによる汚れや傷
・たばこのヤニ汚れによる壁紙の黄ばみ
・故意的な汚れや傷
・壁を殴った穴
・物を引きずったフローリングの傷
・油汚れや腐食、カビ、サビ
・引っ越しによる傷
・設備の故障を放置して使用していたもの
5 経年劣化を考慮した原状回復費用
入居者の過失による傷や汚れがあっても、国土交通省の【原状回復をめぐるトラブルとガイドライン】では、原状回復費用は入居者全額負担とはなりません。
原状回復費用はすでに賃料として支払っている経年劣化を考慮します。
経年劣化による価値の減少は、内装材や設備の耐用年数と入居年数を踏まえて「退去時の残存価値」算出します。
一番汚れや傷が多い内装のクロスは、国土交通省の【原状回復をめぐるトラブルとガイドライン】によると、耐用年数は6年とされています。
計算例
・居住期間3年間
・クロスの張り替えによる現状回復費用15万円
・15万円÷(耐用年数6年÷3年)=7万5千円
となります。
6 経年劣化の残存価値と工事費用の関係
国土交通省の【原状回復をめぐるトラブルとガイドライン】により、
耐用年数を超えて継続して使用可能な設備は、入居者の故意・過失によって工事が必要になった場合、その工事にかかる費用を入居者も負担する可能性がある。
☆原状回復をめぐるトラブルとガイドラインを引用
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdf
としています。
さらに民法では、入居者が他人の物を借りた場合は、一般的・客観的に要求されるレベルの注意を払って使用する「善管注意義務」があるので、注意を払って使用する義務があります。
これをいいかえると、「まだ使えるクロスであるが、入居者の行為で工事が必要となった場合は、入居者が工事費用を負担する可能性があります」と読めます。
経年劣化として残存価値を考慮するのは、材料費だけといえると思いますので、クロス工事をクロス等の材料費と人件費等の工事費に分解してみました。
一般的なクロス工事を材料費と工事費に分解すると、
・1m2=1000円として
・材料費=200円(20%)
・工事費=800円(80%)
・75,000×20%=15,000円
つまり15万円の費用負担割合は
・入居者負担=13万5千円
・オーナー負担=1万5千円となります。(差額6万円となります)
入居者や管理会社からよく「経年劣化でオーナー負担は7万5千円」といわれることが多いですが、入居者に「故意」「過失」「善管注意義務違反」があれば、きちんと交渉できると思いますので交渉していきたいと思います。
7 まとめ
いかがでしたか
賃貸住宅の原状回復費用が「入居者負担」か「オーナー負担」になるかは、「経年劣化・通常損耗」か「特別損耗」のどちらかになるかで大きくかわります。
一般的な例はあるが、その判断は個別に主観による判断が大きいくなります。
さらに「経年劣化」の扱いについても「入居者の行為」がポイントとなり、入居者の行為によって大きく負担が変わってきます。
特に単身世帯をターゲットとして不動産投資をしている方には、入退去のサイクルがはやいので費用負担が大きくかわっています。
退去時の状況をご自身で確認してオーナー負担が少なくなることをおすすめします。
最後までお読みいただきありがとうございます。
↓ランキングに参加していますのでお願いします。